頻尿(ひんにょう)の原因は様々ですが、「過活動膀胱」が最も多いです。
日本人の40歳以上の男女を対象にした調査によると「過活動膀胱」の症状がある患者の人数は810万人と推定されています。
頻尿の原因は何でしょうか?
頻尿・夜間頻尿の対策・治し方は?
頻尿改善に効果のあるツボ・薬・竹踏み・運動・体操・ローラー・サプリメント等をもれなくご紹介します。
頻尿とは?
「尿が近い、尿の回数が多い」という症状を頻尿といいます。
排尿の回数は、日中は3~7回、夜間は0~1回が正常とされており、これ以上の時は頻尿があると判断されます。
回数
排尿回数が日中8回以上、夜間の就寝中に1回以上であると、医学的に頻尿であると言われています。
※排尿回数には個人差があり、目安です。
仮に日中に排尿回数が7回の場合、どういう間隔になるのでしょうか?
7時に起きて24時に就寝する(睡眠時間7時間)場合、2時間半に1回の排尿を想定。
※一例です。
7時(1回目)、9時30分(2回目)、12時(3回目)、14時30分(4回目)、17時(5回目)、19時30分(6回目)、22時(7回目)
これが3時間に1回の排尿の場合、以下になります。
7時(1回目)、10時(2回目)、13時(3回目)、16時(4回目)、19時(5回目)、22時(6回目)
頻尿で特に困るのが外出時や旅行時。
3時間に一回の排尿なら安心です。
尿量
1回の排尿量の正常値は200~500ml。
※膀胱の容量は、性別や体重などによって異なります。
1日の排尿量の正常値は1,000~2,000ml。
多尿は1日の排尿量の正常値を超えている場合、多尿以外の頻尿は、1回の排尿量が正常値より少ないです。
頻尿の原因
“頻尿”の原因は様々ですが、以下の6つの原因が考えられています。
●過活動膀胱
●残尿
●多尿
●尿路感染・炎症
●ガン
●ストレス
過活動膀胱
過活動膀胱とは、膀胱に尿が十分に溜まっていないのに、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮するという病気。
急に尿がしたくなって我慢ができず(尿意切迫感)、トイレに何回も行くようになります。
日本人の40歳以上の男女を対象にした下部尿路症状の調査によると全体の12.4%に「過活動膀胱」の症状があり、810万人の患者がいると推定されています。
頻尿の原因として最も割合の多い病気です。
1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くようになり、尿が間に合わずに漏れてしまうこと(切迫性尿失禁)もあります。
過活動膀胱が起こる原因には以下のものがあります。
●脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、脊髄損傷などの脳や脊髄の病気のために、膀胱のコントロールが効かなくなった。
●前立腺肥大症、前立腺腫瘍、子宮筋腫、子宮脱による排尿障害のために膀胱が過敏になった。
●加齢による老化現象
●原因が不明(明らかな基礎疾患がない)
一概には言えませんが、高齢者に多い頻尿は「加齢による老化現象」が原因に大きく関わっているのではないでしょうか?
残尿
残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残る状態をいいます。
残尿が起こる原因には以下のものがあります。
●前立腺肥大症による排尿障害が進行
●糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの手術などで、膀胱を収縮させる神経が障害され、排尿障害を引き起こした。
多尿
多尿とは1日の尿量が多いことです。
多尿が起こる原因には以下のものがあります。
●糖尿病、、腎機能障害、心不全などの内分泌疾患
●水分の多量摂取
●薬剤(利尿剤)による尿量増加
1回の排尿量は正常値であるにも関わらず、何回もトイレに行くことになります。結果、1日の排尿量は正常値を超えます。
薬剤(利尿剤)でなくても、お酒やコーヒーには利尿作用があるので、トイレが近くなった経験は誰でもあるのではないでしょうか?
水分の多量摂取や利尿作用のある飲物を摂ることによる”多尿”は一時的なものです。
尿路感染・炎症
膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になります。
ガン
膀胱がんの重要な症状は血尿ですが、まれに膀胱刺激症状として頻尿がみられることがあります。
ストレス
ストレス(心因性)の”頻尿”は上記のいずれにも当てはまらないケースです。
膀胱・尿道の病気もなく、また尿量も問題ないにも関わらず、何回もトイレに行ってしまう状態。
心因性なので、夜寝てしまえば排尿のことを気にすることはないので、通常夜間の頻尿はないことが多く、また朝起床時の排尿量は正常です。
頻尿は病気のサイン?
以上、頻尿の原因を見てきましたが、その原因に病気が関与していることが殆どです。
多尿以外の頻尿の原因
●脳梗塞、脳出血、パーキンソン病、脊髄損傷
●前立腺肥大症、前立腺腫瘍、子宮筋腫、子宮脱
●加齢による老化現象
●糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの手術の後遺症
●膀胱炎や前立腺炎
●膀胱がん
多尿の原因
●糖尿病、腎機能障害、心不全
●水分の多量摂取
●薬剤(利尿剤)
それ以外の原因
●ストレス(心因性)
●原因不明
頻尿は何科?
以上の様に、頻尿の原因は様々なので、自己判断は禁物です。
病気に関わるような場合は、原因を明らかにして、原因に応じた適切な治療や対処をする必要があります。
頻尿に限らず尿漏れ等の尿に関わることは、泌尿器科が専門領域です。
まずは、病院の泌尿器科を受診することをおすすめします。
頻尿を診断する為の検査には以下のものがあります。
※一例です。
●検尿(膀胱炎があるか)
●腹部超音波(膀胱、腎の形は正常か)
●尿流量残尿測定(尿の流れは良いか)
●排尿記録(1日の尿量、尿回数、1回の排尿量)
女性の頻尿
女性は男性に比べて、尿トラブルが起こりやすいと言われています。
また、妊娠や出産で症状が悪化することがあります。
妊娠
妊娠中は胎児の成長とともに子宮が大きくなると、子宮の裏側にある膀胱が圧迫され、尿が少ししか溜まっていないのに尿意を感じるようになります。
出産
出産が原因で骨盤底筋が伸びたり、尿道括約筋がゆるんでしまったりすると、自分の意志とは関係なく尿が出てしまう、尿漏れが起こることがあります。
頻尿の治し方(対策)
頻尿にはどのような治し方(対策)があるのでしょうか?
頻尿の治し方(対策)は原因によって異なります。
以下は主に頻尿の原因が過活動膀胱の場合の治し方(対策)です。
頻尿の治し方(対策):ツボ押し
くるぶしから指4本分上の骨の後ろの部分で、骨と筋肉の間の押すと痛い部分を、痛みが出るくらい強めに1分間20~30回指圧。
これを1日3回行うことで、頻尿の改善が期待できます。
頻尿の治し方(対策):薬
過活動膀胱に処方される治療薬は女性と男性とでは異なります。
女性
過活動膀胱と診断された場合、女性では「抗コリン薬」による薬物療法が一般的です。
しかし、服用すると口の渇きや便秘、目の調節障害などの副作用が起きることが問題となっていました。
その点、その後開発された「β3アドレナリン受容体作動薬」(一般名ミラベグロン)は、口の渇きや便秘などの副作用はなく、強い尿意や頻尿、尿もれの症状に対しては、抗コリン薬と同等の効果があります。
但し、生殖可能な年齢の患者への投与は避けた方がよいとされており、治療対象は中高年以降の女性が中心になっています。
男性
抗コリン薬は使用せず、まず「α1アドレナリン受容体阻害薬」が用いられます。
しかし、過活動膀胱の症状が改善しない(効かない)場合は、抗コリン薬に切り替えて膀胱の異常な収縮を抑えます。
頻尿の治し方(対策):運動・体操
頻尿を改善するのに効果のある体操が「骨盤底筋トレーニング」です。
「骨盤底筋トレーニング」は尿もれの予防・改善に効果が期待できます。毎日続けることが大切です。
「骨盤底筋トレーニング」4つの方法
「骨盤底筋トレーニング」には以下の4つの姿勢で行う方法があります。
①仰向けの姿勢
②床に座った姿勢
③イスに座った姿勢
④立った姿勢
動画
ポイント
「骨盤底筋トレーニング」を行う時のポイントです。
●動きはゆっくりと。
●お腹に力を入れず、こうもんや膣をしめることを意識する。
●毎日トレーニングを続ける。
正しいトレーニングを続けることで、2‐3週間で効果が期待できます。
頻尿の治し方(対策):竹踏み
頻尿改善に青竹踏みが効果があることは、信州大学医学部泌尿器科学教室の研究グループの実験で明らかになっています。
「主治医が見つかる診療所」
「主治医が見つかる診療所」では頻尿改善に青竹踏みが紹介されていました。
青竹踏みで膀胱のツボを刺激し膀胱の機能が改善されるというもの。
1日2回、1回につき2分間行います。
番組では、就寝中トイレに起きる回数は2回、起きている間は10回という西村知美さんが、青竹踏みを2週間実践したところ、夜にトイレに行く回数が減ったといいます。
「名医とつながる!たけしの家庭の医学」
「名医とつながる!たけしの家庭の医学」でも、頻尿の解消に青竹踏みが良いと紹介されました。
番組では、実際、夜中に何回もトイレに行っていた夜間頻尿の男性に、この方法を試してもらった。
するとこの方法を続けて3日目の夜から朝にかけて、トイレに行った回数はなんと1回だけという驚きの結果に…。
青竹踏みの動画
頻尿の治し方(対策):ローター
「東洋医学ホントのチカラ」(2018年9月24日放映)という番組の中で、夜間頻尿による鍼刺激の効果が紹介されました。
東京都健康長寿医療センター研究所の堀田晴美先生によると、専用のローラー鍼を使って、自分で会陰部の皮膚をやさしく刺激すると、夜間頻尿が改善されるそうです。
番組内では、実際に夜間頻尿に悩む男女がその効果を体験。
ある女性は、夜間に7回もトイレに起きていたのが、やり始めて夜間のトイレが1回に激減したと言います。
ソマプレーン
夜間頻尿に効果のある専用のローラー鍼とはソマプレーンです。
ソマプレーンは一般医療機器です。
使い方
●さする場所:えいんぶ~女性はこうもんとチツの間、男性はこうもんとコウガンの間
●さすり方:1秒に1センチ程度のゆっくりした速度で、かすかに皮膚に触れるくらいに優しく。
●さする回数:3センチを往復10回程度(約1分)
●タイミング:基本的にはいつでもOK。夜間頻尿は就寝前、昼間頻尿は朝や昼間。
デリケートゾーン(えいんぶ)をさするので、さすがに動画はないですね。
頻尿対策:食べ物
頻尿に効くといわれる食べ物は「山芋」と「銀杏(ぎんなん)」です。
山芋
山芋は1日60gの摂取が効果的です。
マグネシウムが多く含まれていて、尿道括約筋などの筋肉の収縮を整える働きがあるといいます。
銀杏
銀杏は筋肉の収縮を促すマグネシウムを豊富に含み、排尿の際に働く筋肉を強くします。
血行を促して頻尿を改善することから特効薬といわれ、古来より生薬として親しまれてきました。
冷えからくる頻尿にも効果的です。
1日5~6粒を目安に食べましょう。
頻尿対策:サプリ
頻尿対策サプリメントは複数の会社から販売されています。
頻尿対策に効果が期待できる成分はノコギリヤシ、イソサミジン、ペポカボチャ種子等です。
ノコギリヤシ
一般的な男性用頻尿対策サプリメントの主原料と言えばノコギリヤシです。
ノコギリヤシは良性前立腺肥大症に伴う排尿困難、頻尿などの改善作用、利尿作用、抗炎症作用が期待されています。
前立腺は男性のみにある器官なので、女性がノコギリヤシを主原料にしたサプリを飲んでも効かない、という事になります。
イソサミジン
イソサミジンは頻尿や尿漏れに効果が期待されている注目成分です。
イソサミジンは「ボタンボウフウ」という植物に含まれ、排尿筋の過剰収縮を抑えて頻尿をはじめとする排尿障害の改善に作用します。
男性・女性を問いません。
ペポカボチャ種子
ペポカボチャは世界中の温暖な国で栽培されるウリ科の植物です
カボチャの種子には、過敏性膀胱や頻尿など、女性の排尿障害を軽減させる効果があると言われています。
▶男女兼用のおすすめ頻尿対策サプリメント⇒頻尿対策にクレアギニンEXは効果あるの?口コミは?最安値は?
漢方薬:八味地黄丸
頻尿改善の市販漢方薬といえば、八味地黄丸です。
頻尿だけでなく、尿漏れ、残尿感にも効果が期待できます。
八味地黄丸は、腎の働きを良くする8種類の漢方生薬(ジオウ・サンシュユ・サンヤク・タクシャ・ブクリョウ・ボタンピ・ケイヒ・ブシマツ)を処方した漢方薬です。
最近は新聞広告でもちょくちょく見ますね。
処方が同じなら、「八味地黄丸」と商品名に付けることが出来るので、複数の会社から「八味地黄丸」が販売されています。⇒「生漢煎 八味地黄丸」