「糖質は癌のエサになる。」従って「がん治療に糖質制限(ケトン食)は有効」と主張する医師がいる一方、「糖質は癌のエサになる、は誤解!」、「食事療法でガンが治るというエビデンスはない」と主張する医療関係者もいます。
糖質制限そのものに否定的な医師も存在し、「癌に糖質制限は意味ない」と考える人もいます。
本当のところはどうなんでしょうか?
そこで、改めて医師の見解を調べてみました。

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「糖質は癌のエサになる」は誤解

まずは、「糖質は癌のエサになる」を否定する見解から。

「糖質は癌のエサになる」に科学的な根拠はない

参照:糖質はがん細胞のエサ?誤解が多い「がん治療中に相応しい食事」~大津秀一:緩和医療医師・作家。早期緩和ケア大津秀一クリニック院長。【JBpress】

「糖質はがんのエサになる」という説はよく見聞きしますが、科学的な根拠はありません。ワールブルグ効果やPET検査の仕組みを根拠にする人もいますが、誤解です。きっとがん細胞が糖をパクパク食べるイメージがあるのでしょうが、現在のところ「糖がもっぱらがんの栄養となり、その進行を早める」とは確認されておらず、糖質制限などの食事療法ががん治療にプラスになるという臨床的な効果も、まだ見つかっていません。
実は「糖質はがんのエサになる」説は世界的に蔓延している誤解で、海外の医療機関のウェブサイト等でも「関係ない」と説明されています*。
*アメリカのメイヨークリニックのサイトには「がんの原因と都市伝説」というページがあり、「食事中の砂糖と癌との関係の誤解」を説明している。

*参照:がんの原因:がんの原因に関する一般的な神話【メイヨー医学教育研究財団(MFMER)】

上記の記事を当たってみると、英語であったので、Google翻訳で訳してみた。

がん細胞により多くの糖を与えても、がん細胞の成長が速くなるわけではありません。同様に、癌細胞から糖分を奪っても、癌細胞の成長が遅くなることはありません。

確かに上記の個所だけ見ると、癌細胞と糖には関係がないように見える。
しかし、この主張には根拠(エビデンス)がない。

さらに、上記の文章の後に以下の文章が続く。

砂糖を大量に摂取すると、食道がんを含む特定のがんのリスクが高まるという証拠がいくつかあります。砂糖を食べすぎると、体重が増え、肥満や糖尿病のリスクが高まり、ガンのリスクが高まる可能性があります。

これは一体、どういうことであろうか?
何だか真逆の主張に思える。

他にも「糖質はがんのエサになる」と主張する記事があったが、説得力に欠けるのでここで割愛する。

ケーキ

「糖質はがんのエサになる」⇒「糖質制限は癌治療に有効」

次に「糖質はがんのエサになる」⇒「糖質制限は癌治療に有効」と主張する医師の記事を見てみる。
いずれも、がん治療の現場で糖質制限(ケトン食)を取り入れ、実績を上げている医師だ。

まず、前述の大津秀一医師は『「糖質はがんのエサになる」という説はよく見聞きしますが、科学的な根拠はありません。』と主張するのだが、以下の記事を読めば、誤りであることが分かる。

がん細胞は、ブドウ糖をエネルギー源とする

がん細胞は、ブドウ糖をエネルギー源とする――。これは、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞したオットー・ワールブルグ博士が、マウスの「癌性腹膜細胞」を用いた実験で解明し、1923年からの一連の論文で発表したものです。」

*参照:がん細胞を兵糧攻め!「究極糖質制限」の威力~医学博士 古川 健司先生【東洋経済ONLINE】

何とおよそ80年前に「糖質はがんのエサになる」ことが科学的に解明されていた。

上記の記事の続きを抜粋する。

今では、がん細胞は正常細胞の3~8倍ものブドウ糖を取り込まなければ、生命活動を維持できないことも分かっています。

ケトン体とは?

「ブドウ糖が枯渇すると、人間の体内ではブドウ糖に代わる、緊急用のエネルギーが生み出されます。それが、私ががん治療の鍵としている「ケトン体」という酸性の代謝物質です。」
ケトン体のすごいところは、単にがん細胞の栄養源を絶つことだけではありません。がんを誘発する酵素(β-グルクロニターゼ)の活性を低下させるなど、それ自体に抗がん作用があることが、動物実験などで解明されています。

がん免疫栄養ケトン食療法とは?

「私が、(中略)体系付けた、「がん免疫栄養ケトン食療法」とはこのケトン体を治療のベースに据えた、がん細胞を弱らせて正常細胞を元気にするための、食によるがんの兵糧攻め戦法に他なりません。」

がん免疫栄養ケトン食療法の基本

「この食療法の基本となるのは、主食である炭水化物の極端なカットです。その代わりに、免疫機能の指標となるたんぱく質(魚介類、大豆類、肉などから摂取)と、がんの進行と炎症を抑えるオメガ3脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸。魚の刺身やアマニ油などに含まれる)の摂取を強化し、さらに、その燃焼性の高さからケトン体の産生を強力に促してくれる中鎖脂肪酸(MCTオイルを主に活用)を、1日数回に分けて摂取するようにしています。」

免疫栄養ケトン食を避けるべき患者

「ただし、この極端な糖質カットによる免疫栄養ケトン食をすべての患者さんに実施できるわけではありません。肝臓にがんの原発巣(最初に発生したがん)を抱える患者さんや、先天的な要素が関係するⅠ型糖尿病の人には、適用することができないのです。」

主食も野菜も癌のエサ

参照:主食も野菜もがんのエサ! 糖質制限ではない、がんの名医が実践する“断糖”メニュー~ハタイクリニック院長・西脇俊二先生【YAHOO!ニュース】

糖質をとることは、がんにエサを与えて、育てる行為に等しい

糖質をとることは、がんにエサを与えて、育てる行為に等しいのです」
「欧米には主食の概念がありません。前菜やメインという分類はありますが、パンはあくまで添え物。まず主食の概念を捨ててください。食事全体で最も糖質を含んでいるのが米やパンですから、それをやめることが断糖のスタートです」

糖質摂取量は1日5gまで

西脇先生のクリニックではがん患者に“糖質摂取量は1日5gまで”としている。だが、5gという数字は、果物ならみかん1個、野菜ならトマト1個でたやすくオーバーする数字だ。

「果物や野菜を制限すると、ビタミンやミネラルの不足が心配になる人も多いでしょう。肉だけでもビタミンやミネラルは補えますが、唯一不足するのがビタミンC。これはサプリメントや点滴で補えますので安心してください」

糖質の高いものはがんの餌にもなる

「ブドウ糖は、誤解のないようにしていただきたいのですが、がんにも脳にも決して精製された糖質は必要ありません。糖質の高いものはがんの餌にもなってしまいますから控えてほしいものです。」

参照:がん細胞を兵糧攻め!「究極糖質制限」の威力~半田醫院 半田えみ先生【ライフライン21がんの先進医療】

ブドウ糖を供給しなければ、がん細胞は活動できなくなる

参照:がんを糖質制限で“兵糧攻め”…ケトン食によるがん栄養療法の有効性~練馬桜台クリニック院長 永野 正史先生【練馬桜台クリニック】

癌細胞はブドウ糖をエネルギー源にしている

実は80年以上も前から、がん細胞が炭水化物から合成されるブドウ糖を主たるエネルギーとしていることは明らかになっていました。なんと、正常な細胞より5~8倍ものブドウ糖を取り入れなければ、がん細胞自身の生命活動を維持できないのです。」
PETはがん細胞が正常細胞に比べてブドウ糖の取り込みが非常に多いという特性を利用した検査方法です。」
ブドウ糖は、がん細胞にとって不可欠なエネルギー源であり“命綱”といっても過言ではありません。

ケトン食によるがん栄養療法

「裏を返せば、ブドウ糖を供給しなければ、がん細胞はエネルギー源を失い、活動できなくなる、と考えることができます。」

「ケトン体は、体内の脂肪が分解されることによって肝臓で作り出され、血液中に放出される物質です。人体は、仮にブドウ糖の供給が途絶えても、脂肪から緊急用のエネルギーをつくり出すことができる。の考え方をベースに、国内でここ数年の間に広まってきたのがケトン食によるがん栄養療法です。」

ケトン体による栄養療法の概要としては、炭水化物を極端にカットする代わりに、健常者の約2倍のタンパク質を摂取するというのが基本です。」
ごはん、うどん、パン、パスタなど主食となる炭水化物は摂らず、代わりに魚介類、肉類、大豆、卵といった良質なタンパク質をメインにした食事に切り替えます。
こうした栄養療法は、実際に国内の大病院にて、がんに対する効果が報告されています。

「糖質は癌のエサになるのか」まとめ

以上見てきたように、癌細胞はブドウ糖をエネルギー源にしていることは80年前に既に科学的に証明されている。

にもかかわらず、『「糖質は癌のエサになる」はエビデンスがない、都市伝説』と主張する医療関係者は、勉強不足なのではないか?

それでも「糖質は癌のエサになる」否定派は、「それはマウスの実験であって、人と同じではない」と主張するかもしれない。

しかし、ケトン食をがん治療に活かして実績を上げているのは、がん治療の現場の医師なのである。

「糖質は癌のエサになる」否定派は、こういった現実をも否定するのであろうか?

「糖質は癌のエサになる」⇒「ケトン食は癌治療に有効」が結論である。

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